日本人がスカイツリーを絶賛しているだなんてとんでもない

ニューズウィーク誌のコラムから

　スカイツリーは日本衰退のシンボルだ
　http://www.newsweekjapan.jp/column/tokyoeye/2010/12/post-267.php

これを執筆した Régis Arnaud 氏は、日本人の大多数がスカイツリーを絶賛しているとのご認識である様子ですが、とんでもありません。スカイツリーを絶賛しているのは、土建屋、旅行業者、無責任で厚顔無恥なマスメディア、そしておそろしく短絡幼稚な市民だけです。

とはいえ、このコラム中の指摘の多くはあまりにごもっとも。 "衰退のシンボル" とは少々、雑誌らしい過剰演出な文言ですが、行政と企業および市民の、愚策と愚行を象徴していることは否定できません。


まず、地上波デジタル放送に際し、スカイツリーは決して必須ではありません。地デジは東京タワーで始まり、約1年後にスカイツリーに切り替える予定です。アナログ波を停めたその時点では、スカイツリーは電波塔として全く機能していません。テレビ放送どころかラジオでも稼動していません。スカイツリーがなくても地デジ化は可能で、実際にスカイツリー無しの地デジ期間は決して短くありません。

ま、だからこそ!? 官民グルの大プロジェクトを、せめて観光面で短絡的な人々を大いに煽って商業的に利用しないことには、スカイツリーの存在意義が根底から失われるわけですけれども。


さらに愚かしいのはスカイツリーの高さに関する騒動、そしてスカイツリーから見える光景です。

まず高さ。人工の建物で最も高いものは、アラブ首長国連邦のブルジュハリーファ(以前の呼称はブルジュドバイ) 、この高さは828m です。スカイツリーの1.3倍以上高く、しかもビルです。

スカイツリーは、この構想時点では 浅はかにも純粋な世界一を目指していました、が、これが完成する以前に他に大きく追い越されたという、間抜け極まりない代物です。さすがの厚顔無恥なメディアも、あからさまにウソはつけないので

　自立式の電波塔としては世界一

などと言ってのけるわけですが、これでも既に見苦しいです。バカ単純なてっぺんの高さだけでもこのザマですが、展望台としての高さもまた。スカイツリーはブルジュハリーファより若干低いだけでなく、広州塔の屋外展望台や上海環球金融中心より低いです。

重ねて書きますが、そもそも高さを張り合おうなんて発想がそもそも低俗成金です。21世紀にもなって高さを競うのは、オイルマネーが潤沢である一方で緑地の乏しいアラブ諸国か、東南アジアと中国、そんなところです。


まして、スカイツリーが立っているのは、世界でも最悪の都市密集地帯、東京都市圏のド真ん中です。とりわけ先進国の中では劣悪な住居面積、通勤時間その他、東京一極集中の弊害はずいぶん以前から知れ渡っているわけですけれども。スカイツリーの展望台からは、この、世界最悪の都市計画が嫌でも目に入ってしまうわけです。というか、世界最悪の都市圏しか見えないにも近いわけですが。


ま、東京近郊の住環境や公園面積その他はさておくにしましても。日本人の大多数スカイツリーを絶賛している!? などということは、何をどう間違ってもアリエマセン。

まして日本は、世界でも指折りの超地震大国です。どうしてこんな国でわざわざ!? 建築物の高さを張り合って、これを賞賛しようなどと!?? こんなバカまるだしもあからさまな厚顔無恥は、土建屋と観光業者、それから外面は成人でも中身は小学生以下の幼稚極まりない市民ぐらいのものです。

* 本物の小学生なら、スカイツリーの展望台で高いスゴイとはしゃぐのもまぁ、ある程度はしかたがありませんが。



そう、ブルジュドバイといえば以前、空き室率がスンゴイことになっていて幽霊タワーとさえ呼ばれた話が伝えられましたが、その後どーなったんですかね。